「車にスピードメーターしかついてなかったら不安ですよね。経営も・・・」

「車にスピードメーターしかついてなかったら不安ですよね。経営も・・・」

福島県よろず支援拠点コーディネーターの石田です。
みなさま「よろず支援拠点」をどうぞよろしくお願いいたします。
当拠点では、「よろず」とある通り、創業から、成長の悩み、成熟後の悩み、引際の悩み等々、事業経営に関するあらゆるご相談を承る国の事業拠点です。なお、それぞれのお悩みに対してより適切で専門的な知見を持つ他の公的支援機関との連携や橋渡しにも力を入れております。どうぞお気軽にご利用ください。

さて、今回のブログテーマは、「経営にダッシュボードを」です。ダッシュボードとは、みなさま車のハンドルの前にある↓です。このダッシュボードをみなさまの事業にも、上手に設置しませんかというのが本ブログ記事の主旨になります。

まず例に、スピードメーターしかない車の運転をイメージしてみます。
ある一家が遠方へ旅行に行くため、車で出発します。家の近くでガソリンを満タンにし、制限速度を守りドライブを楽しみます。しばらくして運転するお父さんは、ふと心配になります。「ガソリンは目的地まで足りるかな?」「エンジンの調子は今は良いけど故障しないかな?」。でも、いくら心配しても車にはスピードメーターしかありません。ガソリンの量や車の調子をお父さんは想像するしかありません。車が家族の期待に応え目的地に無事到着できるかはブラックボックスの中です。

こうした心配を無くし、事前に問題に気づけるようスピードメーターだけでなく燃料計などが車につけられるようになったのでしょう。

車を事業に置き換えてみます。
事業経営の上で、みなさまが最も意識するのが売上や利益ではないでしょうか。それらは日々の事業経営の結果として獲得され、車に例えるならアクセルを踏んだ結果のスピードと考えて良いかも知れません。
ここで、先ほどの一家の例と同様に考えてみると、今は順調なスピードで走っている(売上があがっている)からと言って、この先も順調にそのスピードを維持できるのかどうかはわかりません。燃料(例えば資金や人材等)は尽きかけているかもしれません。そのように考えると事業経営においても車の燃料計と同じ役割を果たすものが求められます。

そのような観点に基づき、事業の状態を把握しようとする考え方に「バランス・スコアカード(もしくはバランスト・スコアカード)」というものがあります。
「バランス・スコアカード」は時間軸を意識した四つの視点「①財務の視点」、「②顧客の視点」、「③業務プロセスの視点」、「④学習と成長の視点」で事業の状態を把握します。
「①財務の視点」は、売上や利益等いわゆる財務指標の視点です。注意点はこれらが過去の事業経営の結果を表しているに過ぎないことです。
「②顧客の視点」は、現在の顧客に関する視点です(顧客満足度指標等)。これらは正に現在の事業の状態を示し近い将来の①に影響します。
「③業務プロセスの視点」は、社内業務プロセスに関する視点です(効率性、品質指標等)。これらは近い将来提供される商品やサービスに影響を与え、近い将来の②に影響を与えます。
「④学習と成長の視点」は、従業員や組織に関する視点です(能力・スキル指標等)。これらは従業員の仕事そして③に影響し、将来の②に影響を与えます。
こうした四つの視点からバランスよく事業の状態を把握することで過去の成果や短期的視点のみに囚われず、中長期的に安定した事業経営が可能となります。

実際に「バランス・スコアカード」の考え方を導入する際には、それぞれの指標の関連性を考慮しながら各視点ごとに鍵となる指標をまずは二つ程度とするのが良いでしょう。またできるだけ定量的で簡易に評価できる指標が望ましいでしょう。
管理のための手間が本業を圧迫するようでは本末転倒になりますので。