アルフレッド・アドラー「人生の意味の心理学」
ブログを担当する菅原です。今回は「人生の意味の心理学」という本を紹介します。
この本はアルフレッド・アドラー(1870-1937)によって書かれました。
彼はオーストリアの精神科医・精神分析学者・心理学者で、日本では岸見一郎氏の書籍「嫌われる勇気」で有名になりました。
この本の中で、「人生の意味」について考えさせられた文章について紹介します。
「貢献が人生の真の意味である、と推定できるヒントが他にもある。今日われわれのまわりにわれわれが祖先から受け取った遺産を見れば、われわれは何を見るだろうか。それらの中で残っているものはすべて、人間の生活に貢献したものだけである。耕された大地、道、建物をわれわれは見る。祖先の人生経験の果実は、伝統、哲学、科学、芸術、そしてわれわれに人間の状況に取り組むための技術の中に、われわれに伝えられている。これらのものはすべて人間の幸福に貢献した人からわれわれに受け継がれたものである。」
(アルフレッド・アドラー.『人生の意味の心理学』.岸見一郎(訳).アルテ)
これは①人間は地球でしか生きられない②人間はただ一人では生きられない③人間は二つの性でできているという事実からアドラーが導き出したものです。
私たちが生きていけるのは、数えきれない先人の努力の成果があり、現在の人間同士が協力しあっているからなのです。
ライト兄弟が1903年に36mの世界初の有人動力飛行に成功してから、120年後の今日では地球を三分の一周以上(15,000㎞)の距離が飛行可能となっています。このことも数知れない人間の貢献があったからといえますね。
さらにアドラーは次のように書いています。
「他の人はどうなっただろうか。協力しなかった人、人生に別の意味を与えた人、『人生から何を得ることができるか』としかたずねなかった人は、どうなったのであろう。彼〔女〕らは何も後に残さなかった。死んだというだけではない。彼〔女〕らの人生は不毛であった。」
協力せずに何かを得ることばかりに執心し貢献しなかった人生は「不毛」であると言っています。
なかなか手厳しいですね。
でも「協力」というのはどんな小さなことでもいいようです。自分のできることを何か探して、協力する姿勢が必要なのだと思います。
最後に以下の文章を紹介します。
「真に人生の課題に直面し、それを克服できる唯一の人は、その『優越性』の追求において、他のすべての人を豊かにするという傾向を見せる人、他の人も利するような仕方で前進する人である。」
他の人を豊かにするという考え方・方法で、自らを向上させていく人が人生の課題を克服できるといっています。
方向に迷ったとき、このことを思い出すことにより修正できそうな気がします。
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