寺尾

寺尾

福島県よろず支援拠点コーディネーターの奥瀬です。
年が明け、気持ちが新たになって身が引き締まる思い・・・
は全くなく、いつもの日常生活を淡々と過ごしている方が多い事でしょう。

さて、2023年は、本当に多くの著名な方の訃報が耳に入ってきた一年である。
ざっと振り返ってみると、
1月 高橋 幸宏さん(ミュージシャン)
2月 西郷 輝彦さん(歌手)
    笑福亭 笑瓶さん(落語家)
3月 坂本 龍一さん(音楽家)
   陳 健一さん(料理の鉄人)
4月 ムツゴロウさん(作家)
5月 上岡 龍太郎さん(元タレント)
10月 谷村 新司さん(シンガーソングライター)
もんたよしのりさん(シンガーソングライター
11月 大橋 純子さん(歌手)
    KANさん(シンガーソングライター)
12月 島崎 俊郎さん(タレント)
こうやって時系列で振り返ると、大物ミュージシャンが多かったように感じる。

さて話変わって、どうも私は周りに“好角家”と誤解を与えているようなのだが、ここではっきり公言しよう、「私は好角家ではない」←きっぱり

そりゃ~皆様(どこの?)よりは、会場で相撲観戦する機会に恵まれている。せっかくの機会なのだから、両国まで出向きます。観戦することが多いから必然的に大相撲に詳しくはなります。

あれはたしか5月場所だったか、9月場所だったか(せっかく国技館まで出向くのに、それすらもあいまい)の初日、入り口で“もぎり”をしていたのは、錣山親方だった。寺尾といったほうが皆様はイメージしやすいだろう。
入口でもぎりをする親方は4人いらっしゃるのだが、マスク着用で顔が半分隠れる中、現役時代の四股名が全く出てこない(もっと言えば力士時代も記憶にすらない)親方を避け・・・たわけではなく、ましてや特に人気の錣山親方の入口を狙ったわけではなかった。

寺尾「12番になりますね~」
とそれはそれは物腰の柔らかい口調でチケットの半券を渡してくださった。
(今思えば、この時も具合悪かったんだろうなぁ)

奥瀬「わぁ~寺尾だ~」
と思わず、意図せず自然に叫び声をあげた私に、ニコニコと対応してくださったのが印象的だった。今となっては、あの時一緒に写真を撮っていただかなかったことを後悔するばかりである(SNSでは「あの時写真を撮ってもらってよかった~」という知らぬどなたかが投稿された記事を見て悔しいやら悲しいやら)。

あれは9か月前、大阪場所の千秋楽、現役時代の四股名が全く出てこない親方たちが店番をする会場内の売店をうろついていたところ、突然、現役時代の四股名が全く…(中略)親方衆が突然立ち上がり、顔半分がマスクで隠れた、ちょ~っとばかし派手なジャケットを着用した長身の男性に対し
「あ~お疲れさまです」
と全員が敬礼し始めた。

奥瀬「あら~相撲の大タニマチか、えら~い人かしらん」
とよくよく見たら寺尾ではないですか!

少し前に入院されていたという記事も目にしていたので、すっかり良くなられて、大阪入りをしたんだなぁと、すれ違い後姿を見送った(この時も、写真を撮っていただかなかったことを後悔するばかりである)。

あれは3年前(とめる~♪あなた~♪・・・年齢がばれるな)、弟子の阿炎関が新型コロナウイルス感染症ガイドライン違反で後に謹慎となるのだが、謹慎前の場所を途中休場した最初の日私は国技館にいた。その日の解説はかの錣山親方であり、土俵入りに阿炎関がいないことに気が付いた我々は、早速ググるのである。

「新型コロナウイルス感染症ガイドライン違反で、休場させました。申し訳ありません。」という錣山親方が謝罪する動画が早速ネットに上がっているし、そういえば親方の顔色が悪い(解説のすぐ斜め前のマス席で観戦していた私たち)のは、具合が悪いのではなく、自分の幼少期の愛称を四股名にするほど、可愛くて仕方がない弟子の阿炎関のことがあったからなのだろう、と情報入手するまでにほんの数分であった(いや~今のネットの情報が秒で拡散されるってすごいわ)。

この時に寺尾の
「休場させました」
という発言が妙に気になったのである。
“させた”というぐらいだから、阿炎関の意思ではなく、監督責任がある師匠としてのけじめの取り方なのだろう。

角界の親方は、その相撲部屋のトップである。寺尾もまたしかり。
錣山親方は指導監督に重大な不足があったとして20%の減給6か月の懲戒処分を受けている。しかし、違反発覚からの対応の早さ、適切な判断は師匠として正しかったのだろう。

先日、よろずで支援する若手経営者のもとへ、ある大クレームが入った。それは従業員がやらかしたことなのだが、事業主自らが謝罪にくるように指示があり、知識不足、認識不足をフォローするために同行した。
平身低頭謝罪し、なんとか怒りを収めていただいたのだが、「従業員のミス=事業主のミス」
という意識を持たなければならないと常日頃から考えている私は、そのことを事業主にもお伝えした。
クレームはいつもこちらが悪いわけではなく、いいがかりもあれば、勘違いもある。従業員のミスつまり、自分のミスではないことでもすべての責任の所在は事業主にある。

12月18日、弟子の阿炎関のコメントは、
「親みたいに接してくれましたし、たくさんの愛をいただいた。厳しくもしてもらったし、迷惑ばっかりかけても、父親のような広い心でずっと僕を守ってくれた.一つひとつが本当にこの人についていきたいと思えるような行動が多かった」
と感謝の意を述べている。

私もスタッフにこんな風に言ってもらえたらうれしいな~。
その前に皆様に親みたいに広い心で接してたくさんの愛を贈らなくちゃ。でも、未熟者の私は、謹慎を食らうほどのミスをし、私に迷惑をかけたスタッフを広い心でいつなんどきでも守るといったスキルを未だに身に着けておりません(泣)。
修業が足らん!

阿炎関は葬儀翌日には巡業に合流し、きっと一番の声援をもらったことでありましょう。
1月14日初場所初日、おそらくこの日一番の大歓声に包まれるであろう。
私も国技館、向正面溜席(ばっちりTVに映る席)で応援するからね~(←私は好角家ではありません!きっぱり!)

皆様ぜひ、平成3年三月場所、寺尾と貴花田の取組をYouTubeなどで観てください。
負けて花道でさがりをたたきつける寺尾、語り継がれる取組になることでしょう。

錣山親方のご冥福をお祈りいたします。