バルコニーとダンスフロアを行き来せよ
福島県よろず支援拠点の松田若菜です。本年4月からコーディネーターとなりました。事業者の皆様のお力になれるよう尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、皆様は趣味や特技など、何か夢中になれるものはございますか?私はといえば、大学時代から十数年間、競技ダンスのアマチュア選手として、それはそれは夢中で練習に競技会にと励んでおりました。
競技ダンスとは、男女がペアとなり、競技会にて級(クラス)ごと、種目ごとに複数のカップルとともにフロアで踊ることでダンスの演技を競い合うスポーツです。某TV番組でのキンタロー。&ロペス組が躍っているのはラテンアメリカン、映画「Shall we ダンス?」で主人公が躍っているのはスタンダードという種類で、それぞれ5種目あります。
競技ダンスの競技会は、級が上がるにつれて手強い競合が増えるのはもちろん、種目も増え、高い技術やスタミナが必要になってきます。1曲は約1分半~2分、体育館の真ん中のフロアに複数組が入場し(けっこうぎゅうぎゅうになる時もあります)、フロアを取り囲むようにして審査員の先生方がチェック表を手に立っています。審査員のチェックできる数は限られているため、できるだけ審査員の目に入る場所での演技が重要となります。
予選から準決勝、決勝まで勝ち進み、昇級できるか、もしくは予選敗退か…他県まで遠征して、汗をかくまでもなく1次予選敗退なんて時は、本当に声も涙も出ないほどショックですが、調子よく決勝まで勝ち進んで昇級を決めた時などは飛び上がって喜んだものでした。
大きな競技会になると、アリーナといった2階席からフロアを見下ろす形で観戦することができます。フロアを囲むようにして観客席が設置されている場合、選手との距離が近く臨場感や迫力があり、見ごたえがあるのですが、2階席からは選手が遠い分、迫力は薄まります。しかし、余計なものが見えない分、カップルごとの実力というか、存在感のようなものが浮き出し、レベルの差が明確になったりするものです。衣装やメイク、体格などはさほど大きな差にはならず、ただ一組のカップルの、リーダー(男性)の背中の美しさ、カップルとしてのダイナミックな動きに目が釘付けになるのです。
先日、ロナルド・A.ハイフェッツ著『最難関のリーダーシップ―変革をやり遂げる意志とスキル』(英治出版)という本を読みました。この本では、企業などの組織が抱えている問題について、組織が培ってきた経験や専門性、知識等を用いて解決することができる「技術的問題」と、経験や専門性だけでは解決できず、組織に属する人々が大切にしている価値観や信念を明らかにし、その人々が変化に適応できるように対処しないと解決できない「適応課題(アダプティブ・チャレンジ)」に分類することができるといっています。
そして、「アダプティブ・リーダーシップ」は、「適応課題」を前進させ変革を推進するために、組織の人々が自らを適応させつつ課題に対処できる力を作り出し、抵抗や排除に遭いながらも人々をまとめ動かしていくことであるとしています。また、その実践については、システム(組織)や自分自身への「診断」、その診断に基づいた「行動」に分けられるとし、その診断の際、組織全体を俯瞰で見渡すという意味で、「ダンスフロア」を見下ろせるように「バルコニーに上がる」という比喩を用いています。
自社の組織や市場を俯瞰で見渡し、自社の立ち位置を認識するということは、事業者様にとっては不可欠であることと同時に、時に大きな勇気がいることだとも思います。そのような時、よろず支援拠点を利用してみませんか?事業者様と同じ目線で、コーディネーターが一緒にバルコニーから見渡したいと願っています。
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