抱えている『問題』を解決するために

抱えている『問題』を解決するために

福島県よろず支援拠点コーディネーターの石田です。
みなさま「よろず支援拠点」をどうぞよろしくお願いいたします。
当拠点では「よろず」とある通り、創業から、事業成長の悩み、事業成熟後の悩み、引際の悩み等々、事業経営に関するあらゆるご相談を承る国の事業拠点です。なお、それぞれのお悩みに対してより適切で専門的な知見を持つ他の公的支援機関との連携や橋渡しにも力を入れております。どうぞお気軽にご利用ください。

さて今回のブログテーマは、「抱えている『問題』を解決するために」です。なお以下、石田の独断と偏見に基づいております旨どうぞご承知おきください。

皆様、いま現在、何か「問題
を抱えられていますか?小さくても大きくても、事業に関してでもプライベートに関してでも、何でもよいので思いつく「問題」を頭の中にイメージしてみてください。
それは例えば、事業に関することであれば「新商品を売り出してみたが思うとおりに売れ行きが伸びない」「せっかく採用した従業員が思い通りに育たない」「ここのところ資金繰りが厳しい」などなどでしょうか。
プライベートに関することであれば「奥さん旦那さんとすれ違いがちだ」「子供がぜんぜんいうことを聞かない」「家を購入したが設備でトラブルが発生した」などなどでしょうか。

そうした「問題」、どうすると上手く解決することが出来るのでしょうか?

まず最初に理解しておくと良いことは「『問題』とは『抱えている理想』と『認識している現実』のギャップ」だということです。
ただし、ここでいう「問題」や「理想」、「現実」は必ずしもその時点で明確に自分自身で意識しているものに限りません。いま現在は明確には意識していないけれども、「問題」について考え、掘り下げていくことで、潜在的に「抱えている理想」や、潜在的に「認識している現実」が徐々に明確に、具体的になってくることもあるだろうと思います。

どういうことか?

先に挙げたいくつかの例を用いて説明してみます。
例えば「新商品を売り出してみたが思うとおりに売れ行きが伸びない」という「問題」を抱えている人がいます。この人の「抱えている理想」は「売り出した新商品が思い通りに売れている状態
ではないでしょうか。そして「認識している現実」は「新商品が思い通りに売れていない状態
ではないでしょうか。
例えば「ここのところ資金繰りが厳しい」という「問題」を抱えている人がいます。この人の「抱えている理想」は「資金繰りに余裕があり、そのことについて悩まなくてよい状態
ではないでしょうか。そして「認識している現実」は「資金繰りに余裕がなく常にそのことで悩んでいる状態
ではないでしょうか。
さらには、例えば「家を購入したが設備でトラブルが発生した」という「問題」を抱えている人がいます。この人の「抱えている理想」は「購入した家でトラブルなく思うように設備を利用できる状態
ではないでしょうか。そして「認識している現実」は「購入した家でトラブルにより思うように設備が利用できない状態
ではないでしょうか。
 
ここまで「問題」「理想」「現実」の関係について例を挙げて説明してみました。説明した内容は腑に落としていただける感じでしょうか?

しかしなぜ、「『問題』とは『抱えている理想』と『認識している現実』のギャップ」だということを理解すると「問題」を上手く解決することにつながるんでしょうか?

なぜなら、抱えている「問題」を解決するためには、まずその「問題」が明確で具体的である必要があります。世の中には「暖簾に腕押し」や「糠にクギ」といったことわざがありますが、まさにそのイメージで、「問題」がモヤっとした状態のままでは解決のしようがないということです。解決に向けて押してみてもフニャっと向こうに行ってしまう、解決に向けてクギを打ちこんでもしっかり固定されないというようなイメージです。
なかなか「問題」が根本的に解決しないというようなケースでは、こうした、「問題」がしっかり定義されていない、「問題」が明確化、具体化されていないというケースが非常に多いと思います。

それでは「問題」を明確化、具体化するためにどうすればよいのか?というところで「『問題』とは、『抱えている理想』と『認識している現実』のギャップ」であるとの理解が重要となってきます。
まず自分自身が「抱えている理想」を明確化、具体化します。そしてそれにあわせて「認識している現実」も明確に、具体的に把握します。それら明確化、具体化を実行することで自ずと「理想」と「現実」のギャップである「問題」が明確化され、具体化されるということになります。そして「問題」が明確化、具体化されればその解決が可能となります。

もう一度、先に挙げた例に戻って考えてみます。
「新商品を売り出してみたが思うとおりに売れ行きが伸びない」という「問題」を抱えている人がいます。この人の「抱えている理想」は、「売り出した新商品が思い通りに売れる状態」だと先に述べました。
でも「理想」の「思い通りに売れる」ってどんな状態でしょうか?例えばお店に並べたら並べただけ売れる状態でしょうか?それともひと月に100個など理想の販売数量が具体的にある状態でしょうか?
 前者の場合はゴールポストが不明、もしくはゴールポストが動くような状態と言えます。一方で後者の場合はゴールポストが明確で具体的に設定されている状態と言えます。前者はゴールポストに行きつくことがおそらく不可能ですが、後者はゴールポストに行きつくことが可能です。
 逆説的かもしれませんが、要するに「理想」というものが明確で具体的に描かれていれば「問題」の解決(「理想」への到達)が可能になり、そうでなければ、いつまでたっても「問題」が解決に至ることはないだろうということです。

さて次に、「認識している現実」についてです。
先に挙げた例で「認識している現実」は「新商品が思い通りに売れていない状態」だと述べました。「思い通りに売れる」部分については、既に述べたようにゴールポストが動かない状態、ゴールポストが明確で具体的に描かれている状態が求められる旨を申し上げました。ここで重要になるのは、そのゴールポストに対して「現実」(=「売れていない状態」)がどういう状態にあるのか、明確に、具体的に事実を把握するということです。
例えばひと月に100個売るという「理想」を抱えているのであれば「現実」として認識するべきは、今月は実際に○○個売れていますという様なことになります。こう書いてしまうととても簡単なことのように思えてきますが、実際には「理想」も「現実」も定量的に設定したり、把握したりすることはそれほど簡単なことではないかもしれません。個数を把握することでさえ時に事実ではなく思い込みで個数を認識しているケースも少なからずあります。

さて「抱えている『問題』を解決するために」というテーマで本ブログを書いておりますが、おそらく事業でもプライベートでも「抱えている『問題』」といったときに皆様がイメージする「問題」は、端的に個数などで表せるようなものではなく、組織や人が絡む「問題」
さらには人の感情や思いの絡む「問題」
であることのほうが多いのだろうと思います。
そうした組織や人、感情や思いの絡んだ「問題」の解決にのぞむ際にこそ「『問題』とは『抱えている理想』と『認識している現実』のギャップ」だということを思い出していただければと思います。なぜならそうした組織や人、感情や思いの絡んだ「問題」ほど、そこに関わる人それぞれの「理想」や「現実」が存在しがちで、ゴールポストが不明な状況やゴールポストが動くような状況が生じがちで、事実の把握が疎かになりがちです。
自分自身や組織、その他メンバーが「抱えている理想」がどのようなものであるのかを明確化、具体化する、さらに言えば「言語化」する、それにあわせて「認識している現実」も明確に、具体的に「文字」や「数字」で把握する、それらにより、抱えている「問題」がより明確化、具体化され、より上手く解決することが可能になると思います。

今回のブログはここまでとなります。
「『問題』とは『抱えている理想』と『認識している現実』のギャップ」である。
いかがでしょうか?腑に落としていただける感じでしょうか?

今後もよろずをどんどんご活用いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。